ブランド買取専門店「なんぼや」と「BRAND CONCIER」を運営する株式会社SOUは、自社仕様にカスタマイズできるiPad用自動受付番号発券アプリ「Enterprise Serialna (エンタープライズ シリアルナ)」を46店舗(2017年9月末現在)で採用。スムーズな受付を実現するとともに、各店舗の待ち状況を本部で一括管理できるようにした。カスタマーコールセンターでは、問い合わせに応じて、予想待ち時間や近隣の空いている店舗を伝えることも可能になった。
モノの価値をつなぐ“リユース”とテクノロジーを掛け合わせて新しいサービスを生み出す。SOUは、創業者のこのような理念に基づいてブランド品等の買取/販売のビジネスを急ピッチで立ち上げてきた。2007年に関西地区でスタートしたブランド買取専門店「なんぼや」は、すでに北海道から九州まで46店舗。予約もできる買取専門店「BRAND CONCIER」などの事業も並行して展開中だ。
そのSOUは、店舗における顧客満足度をいかに高めるかということに注力している。「当社は、コンシェルジュ(鑑定士)の接遇レベルを本社の事業サポート部で一括管理するやり方で、店舗数の急拡大と接遇品質の維持を両立させてきました」と語るのは、常務取締役の藤田桂氏。
その一方、各店舗では査定待ちのお客様への対応が課題となっていた。「例えば東京・銀座地区の場合、休日は全国からご来店いただくお客様でとても混み合います」と語るのは、営業本部 課長の竹村悠氏。受付スタッフがいる店舗では手書きのリストを作って対応していたが、呼び出しの順番を間違えてしまうこともあった。
「そこで、まずは、待合室でお待ちのお客様の順番を把握・管理することがファーストステップだと考えました」と、藤田氏。各店舗に在籍するコンシェルジュの接遇レベルを本社側が評価・指導するやり方をとっている以上、全店舗の待ち状況は本社側でもリアルタイムで把握する必要があったと説明する。
順番待ちを管理するには、銀行や病院で使われているような発券機を置けばよいのではないか。このような発想からSOU内で検討が始まったのは、2014年7月のことだった。調査・検討や見積りを経て同社が採用を決めたのは、日鉄日立システムソリューションズの受付発券iPadアプリ「Enterprise Serialna」だった。
無償で公開されているiPad用アプリ「Serialna」をベースに、導入企業ごとの要望を取り入れて機能を追加する、いわばカスタム版である。今回は、多店舗一括管理機能を日鉄日立システムソリューションズが新たに開発して提供した。藤田氏は「弊社が必要とする機能を完備していて、コストをなるべく抑えられるものを選びました」と話す。
Enterprise Serialnaの開発が始まったのは、2015年10月。SOU向けにはパブリッククラウドをシステム基盤とする方式で提供することにしたが、ソフトウェアの機能としてはプライベートクラウドやオンプレミスサーバーでも動作する設計だ。
アドオンの開発と並行して、なんぼや(36店舗)とBRAND CONCIER(6店舗)にiPad/プリンター/大型液晶モニターなどの機器を搬入・設置する作業もスタート。2016年6月には当時の全42店舗でEnterprise Serialnaが使えるようになった。
店舗側のシステムは、受け付けカウンターとバックヤードにiPadを1台ずつという構成。来店客は自分で発券ボタンを押して番号札を受け取り、順番を呼ばれるのを待合室で待つという流れだ。「近くでショッピングしてくる」といった”一時外出”にも対応している。
お客様が操作する受付前のiPadと受付番号が発券されるプリンター
Enterprise SerialnaがSOUで稼働を始めて、ほぼ1年。発券機システムは店舗にとっても事業サポート部にとっても日常の業務に欠くことのできないツールとなっている。
「お客様の“待つ”というストレスを解消できたことが、発券機を導入したことによる最大の成果だと思います」と、竹村氏。事業サポート部 部長の井元信樹氏は「待ち人数と待ち時間が一目で分かるので、店舗のコンシェルジュにとっても段取りを考える上での参考になっています」と、高く評価する。
事業サポート部で全店舗の待ち状況をリアルタイムで把握できるようになった結果、顧客満足度も高まっている。「本社のカスタマーコールセンターで、予想される待ち時間や近隣の空いている店舗をお伝えできるようになりました」と、井元氏。待ち人数モニタリングの機能は、買取業務のプロセスを管理する品質管理課も活用している。
このようにEnterprise Serialnaを活用しているSOUだが、これで終わりではない。目指すところはさらに先にある。「第2フェーズとして、リピーターの方々のお客様情報とのひも付けを考えています」と藤田氏は語る。来店されたお客様を特定し、過去の来店記録や「LINEで査定」の結果を基により高い接遇品質でサービスを提供する、というのがその一つのシナリオだ。
また、近日中に実現させたい機能拡張としては、LINEとの連携がある。「”一時外出”されているお客様をLINEで呼び出す仕組みを考えています」と、井元氏。SOUでは品物の写真をLINEで送って事前評価してもらう「LINEで査定」の利用者が増えている。そこで、呼び出しにもLINEを使った方がお客様に歓迎されるはず、とSOUは判断している。
顧客満足度を高めるために、SOUは今後もIT活用を積極的に行うつもりだ。
前身は、元Jリーガー・嵜本晋輔氏が2007年に開いたブランド買取専門店「なんぼや」。2011年に現商号の法人を設立し、ブランド品、貴金属、骨董品などの買取と販売に携わり、2018年に東証マザーズへ株式上場。創業以来のなんぼやのほか、予約もできる買取専門店「BRAND CONCIER」、BtoBオークション「STAR BUYERS AUCTION」、BtoC販売事業「ALLU」、「usus」などの事業も展開している。
設立:2011年12月
資本金:10億2,750万7,094円(2019年8月末現在)
本社所在地:東京都港区港南1-2-70 品川シーズンテラス28F
https://www.ai-sou.co.jp/
※お客様の社名・商標等掲載内容は掲載当時のものです。
「Serialna(シリアルナ)」無料版アプリの
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